斯様に思います

そのへんのおじさんの日記

結婚できない男:破・1 「アプリが開けない」

半年以上文章を書かなかった。

その間にマッチングアプリをダウンロードし有料会員となった。何人もの女性の方とメッセージをやり取りし、たまに会ったりもした。しかし、今もやりとりをしている方こそいるがその熱量は随分冷めてしまっている。

 

「おじさんが何やってるんだよ。」と内心思っているのもあるが、アプリを開くことに罪悪感じみたものを感じてしまっている。アプリを開くと会員の女性の写真がずらっと並ぶ。はじめはすごいなあと思って見ていたが、次第にショーケースに入った何か煌びやかなものを選んでいるような感覚になり、それを良くない事と思うようになったのだ。

何故かはわからないが人を選ぶ行為が、視点は違えど自然と日常でやっていることに対して、というより結婚を目的とする土俵の上でその行為をポジティブに捉えられなくなった。(ところで、パートナーとの出会いを目的とすると表現をしている方がいるが僕はそれがどういうことなのかよく分かっていない。事実婚と言うやつ?)

僕が本筋から逸れるような視点でそれを捉えて、ごちゃごちゃ色々と考えてしまっているだけかもしれない。初期衝動のまま突き進めば今のような状態にはなっていないかもしれないけれど、その温度が低い今、僕はアプリを開けずにいる。

見ず知らずの人に酒を奢ったことがあるか。

君は見ず知らずの人に酒を奢ったことがあるか。

 

別に悪いことではないが、こういった行動を取る人間は大別して店の常連が一見の客に対してイキってのことか、もしくはナンパのどちらかだと思う。常連どうしの間柄だとある話かもしれないが、そうであれば友達未満なんとやらなので十分あり得る話だと思う。

偏見も良いところだが、何故こんな事を書いているのか。先に書いた通り、僕は「下心でしか他人に酒なんか奢らないだろうが」と思うような偏った考えを持つ人間なのだが、そういう人間が人生ではじめて見ず知らずの人に酒を奢ったのだ。いや、記憶に無いだけで過去に奢ったかもしれないが、というかその覚えがあるが今回は意味が違う。

本当に恥ずかしい話なのだが10席もないであろう店に数人で入り、結果として騒いだのである。ネットニュースになるようないわゆるヤベぇ奴の騒ぎ方ではなく社会人、それもいいおじさん同士で口論をしてしまい、そのなかで安い挑発に乗ってしまったのだ。ダセぇ話である。

言い訳になるが、酒が入ると周りに悪絡みすると噂の人間がいるという話を聞ていたので、そもそもこの飲み会自体乗り気ではなかったのだが、会社社会にいる以上避けられぬ場面であったし、参加して心底後悔した。

脱線したが、先客の女性がひとり、格好からして恐らく仕事帰りだろう、まあ静かに飲んでおられたのを邪魔したのだ。それを我々輩が塞ぎこむ形で着席してしまって、簡単に表現すればボンバーマンスタート直後の自爆待ち状態。我々爆弾集団のせいで彼女の邪魔をしてしまったのである。静かに過ごしたかったであろう方に、おじさんの口論を聞かせてしまって本当に申し訳なくて会計を回してもらった。結構いい額だったがそれを言うと野暮である。勉強代と言うより迷惑料と考えるのが妥当だろう。時代にチャンネルを合わせているつもりが、「こうなりたくない」おじさんの姿に順調に近づいてしまっている。このままではまずいと思う、そんな夜だった。

 

2023年8月1日午前4時45分

眠れない夜が続いている。

眠れない夜などと文字に起こしてみると少しドラマチックに見えなくもないが単に不眠なだけだ。

昔からそうなのだが、寝ようとしたときに考え事を始めてしまって寝るきっかけを失うことがある。気づくと寝ている場合が大半だったのだが、最近は継続的に考えなければならないことが増えたせいもあって朝になることがある。

いま午前4時32分、午前0時30分頃から寝ようとしていたのだが、この時間まで意識を失うことはなく幾つかの議題について考えていた。残念ながらどれも結論のようなものは出ておらずただの考え損だ。しかもこの深夜に頭は冴えている。しかし少し頭痛めいたものを感じるので実際は眠たいのだろう。

電気を消して何とか寝ようとしていたが、この時間になっても、もうどうしようもないなと思いだしたので書き殴りを始めた。悪循環に陥る行為とはわかっているが、これを書き終えることで何らかの達成感から少しだけでも寝ることができるのではないかと浅はかな考えと期待を持って愚行に走った。

しかし、この書き殴った文章を投稿してiPhoneのバックライトが視界から消えた後も、おそらく僕は寝られずそのまま朝を迎えていつも通り出社する。勤務早々にうとうとしながら、きっといつもより低いパフォーマンスだろうから、何か難しい課題にぶつかって悩んだふりをして何とか1日の勤務をやり過ごすのだろう。

悩みがない人はきっといないだろうけど、寝るときに考え込む癖だけは無くしたい。

いま4時45分。割と最悪な状態で8月がはじまる。

結婚できない男:序

いくら晩婚化などと言われていても、世間一般的に30歳前後が結婚適齢期であるということには何ら変わりはない。そして僕はその世間一般から外れてしまっている。事実として。考え方として。

僕の友人の中にもちゃんと結婚して家庭を築き、子供もいる人間はいる。いくらふざけた事を言うような奴でも人を育てているという事実は立派だなと思うし、その経験がない僕よりも少し違った上の視点を持っているんだろうと思う。それでも、そういう人間から見聞きする事を踏まえて家庭を持ちたいかと自分に問いを投げても、結論はそこに着地することがなかった。たぶん、僕は一人が好きなのだ。

とはいえ、僕は事あると口では結婚したいだのと言っている。この手の話は聞き手次第では非常に面倒臭い。それを回避するために、そして周りからヤバいやつだと思われたくない、ただそれだけのために。
まわりに一人でも自分は大丈夫などと言ってしまうのは悪手である。本音であったとしても。結婚はしておいたほうが良い。年取ってからどうするんだ。などと言われるのはもうお決まりだ。結局聞き流すしかないのだが、そもそもやり取りするつもりもない、グローブを嵌めないキャッチボールは1球でも苦痛なので避けたい。

その結果「結婚したいがいい人がいない。だれか近くにいればなあ」などと、少しだけ前向きな発言をすることが流れを終わらせる最短ルートだと気づいてからは、続けて「でもモテないからなあ。誰か知り合いにいません?」と、ひと笑いを稼いで流れを終わらせるようにしている。

脱線するが、そもそもこの「年取ってからどうするんだ」の発言の奥に、結婚が自分の介護のため看てもらうためのものだとする意図があるのなら、それはあまりに主観的というか勝手すぎるし、相手に失礼に思うのだがどういうつもりでの発言なのだろうか。年老いて結果的にそうなったとしても、それをはじめから目当てにするのは考え方として納得できない。それならなおのこと結婚などしなくて良いものとして見てしまう。
いつも思うのだが、夫婦はでき得る限りフェアであるべきと思っている。(この「でき得る限り」というのは家庭を持つ友人の話を聞いて書いているが、理由が局所的すぎる気もするので触れない。でも今思っていることなので残しておく。)武田鉄矢a.k.a金八先生よろしく「人という字は~」ではないが、持ちつ持たれつな関係であるべきの考えから外れないのだ。
結婚生活を知らない人間が描く理想論なのだろうけれど、たまにこういう話を聞くと癇に障る。

閑話休題
結婚に対しての考え方。ごく狭い世間。僕は周りの人たちの普通から外れてしまっている。とはいえ、僕にもそういう話が全く無かったわけではない。大なり小なり思うとありがたい話ではあったが、いつも幕引きは同じ「何を考えているのか分からない」である。何故そうなるのかを考えるより以前に、一人が気が楽な気質なんだろうと漠然と考えるようになって、だったらそうしようと、一人で生きる覚悟のようなものは多少なり持っていた。30歳を少し過ぎたあたりのことである。

そんな時期に世間と逆行する判断をした。多分自分が結婚をする、辿る道が見えないというか、そうなった時のイメージがつかないので考えるのを諦めた。それを考えること自体から逃げただけなのかもしれないが。

だがあるとき、(安易に書けないが)生の執着を目の当たりにしたことで、僕の中に立つ「一人で生きていく」と掘られた太い柱が勢いよく倒れてしまった。僕はその柱に余程寄りかかっていたのか、それが倒れたことで足腰が相当弱くなっていた。弱くなって、弱くなった先に、はじめて結論を今まで向かなかった場所に着地させた。そう思った僕はスマートフォンを手に取りアプリを探しはじめた。

1万円のボールペン

10年以上使ったであろうボールペンが割れて折れてしまった。筆記用具などこだわりが無かったのだが、当時とある事があって別のものを用意する必要があり、どうせならちょっと良いものをと思い買ったペンである。
文具店に見に行き、ちょっと高いショーケースに飾ってあるようなコーナーで欲しいと思ったのがそのペンなのだが1万円する。4色ボールペンなのだがそれでも高い。たかがボールペンに1万円は正気の沙汰ではない。趣味の領域、いよいよ価値観の問題だ。

ここで1万円は出せないと思えば別の物を選べば良い話なのだが見た目が良い。1万円は出せるけど躊躇する、こういう時はもう買う言い訳を考えている。ああだこうだと言い訳を考え、結局ずっと使うものとして考えればそうでもないか。などと結論付け思い切って買った記憶がある。
仕事用にと買ったものだがほとんど毎日持ち歩いていた。気分的には相棒である。今書いていて気持ち悪い表現だなと思ったがこれ以外に表現が見つからなかった。学がないのは損だ。

このボールペンが割れるというトラブルはどうやらこのモデル特有の持病のようなものらしく、インターネットで少し調べただけで同じような状態がいくつも出てきた。使いようによっては1年も持たない事があるらしい。そう考えると持ったほうかななどと思っている。

とはいえ困った。今まで普通にあるものが無くなってしまったので、それに変わるものを用意しないといけない。
とりあえずどこかのイベントで貰ったGoogleのロゴが入ったボールペンを数日持ち歩いて使ってみたが、4色でないことを除けば用は足せるのだが何となく違う感覚だ。
これは早急に新たなペンを用意しないといけない。そう思うと最後、この手の感覚は長引かせるとその事で頭の中が一杯になってしまう。
というわけで久々に文具店へ行き、またちょっと良いペンを買った。
同じものにしようかとも思ったが、店員さんに折れたペンの話をすると、そもそも設計が古くハードに使うものでもないらしい。また同じように折れるかもとのことだった。そこで同じメーカーで形状の似たステンレス製のボールペンを勧められたのでそれを買うことにした。

持った感じが似ているのでGoogleのロゴが入ったペンを使っているときの物足りなさがないように思う。ただ、4色と比較して黒1色なので機能的に考えれば物足りないが、ここ数日、黒1色でも用は足せていることを考えると選択としては問題がないのかもしれない。

長く使うから良いものを。の考えは、あるラインを超えると正直コストパフォーマンスとして見たとき良くないのかもしれない。でも、気に入ったものがずっと手元にあると考えるとコストパフォーマンスには変えられない何らかの価値が生まれるように思う。
僕はパソコンばかり触っているので書くこと自体の機会が少なくなっているし、
そこに少し趣味を含んで楽しみを作っても良いんじゃないかと、斯様に思うわけです。

という、今回のボールペン購入にあたっての言い訳を長々書いた。

転がる岩、僕に朝が降る。

朝起きて、仕事に行く。朝食は摂らない。血圧が上がらない時は特に最悪である。気分が悪い中も出社しなければならないので、会社に着くころには何らか一戦交えた後のような気分である。

僕は勤務先に定刻ギリギリに入る。職場環境があまり良くない、というより、いわゆるタコ部屋なので長居したくないのである。何人いるのかわからないが200弱の座席はあるだろうか。

タコ部屋なので、コロナ感染についても考慮する必要がある。しかしながらその感染対策についても放棄されているので5類になろうが関係がない。アクリルの仕切り板はコロナ蔓延初期にコミュニケーションの不自由度を増すとの理由で隣のおじさんが任意撤去した。ちなみに、隣のおじさんはタバコ部屋という社交場によくいるのであまり会話をしない。行くのは構わないが、そこでいろいろ調整されるのだけは困るのでやめて頂きたいところである。

そしてデスクに常備しておいた私物のマスクは時間をかけてカスり盗られていた。これは現在も進行中である。僕の私財がオフィスファシリティの改善に貢献できていると割り切ることにしたが納得はできていない。ウイルスと盗人、常に見えない敵との戦いである。

予算が無いので、オフィスチェアなど更新されることは無く、今まで何人のおじさんが座ってきたか分からないような椅子に座る。クッションがヘタりすぎて、椅子の座面と足を止めているであろうネジっぽいものを尻に感じながら作業を始める。
この椅子は既に減価償却のタイミングをとうに過ぎているし、職場環境面的に要交換の部類だろう。試していないが椅子の上げ下げはガスが抜けていると思われるのでそれももう叶わないと思う。

電源タップは常に隣のおじさんとの取り合いである。夏場になると小型扇風機の出番である。僕も例に漏れず300円ショップで購入したUSB小型扇風機を持参しているがあまり出番はない。パソコンのUSBポートはセキュリティの観点から塞がれているので使用できない。5月の時点で気温が30度を超えた場所があったそうだ。今年も熾烈な戦いが予見される。

そんなこんなしていると終業時間である。イケてる社会人は、コロナ明けの華金などとほざいて街中でアルコールを浴びるのだろうが、我々タコ部屋勤務はここから施錠時刻までが勝負である。終業時間とともに隣のおじさんは帰ってしまった。今日も作業状態は思わしくない。帳尻合わせの残業である。

数時間のアディショナルタイムで週明け何となく突っ込みを受けないであろう状況を作りようやく終業である。施錠時刻にはまだ余裕がある。
毎日何やってんだろうか、週末はポストに投函された請求書とかそのへんの処理をしないとなあ。そういえば今週来週でオークス日本ダービーだったなあなどと思いながら退社。途中、立ち飲み屋でビールを浴びていた社会人を横目に帰路に就く。

長々書いたが家と会社の往復の毎日。

それ以外特に何も無い、おじさんの日記である。